エレベーターの非常止め装置の種類と働き

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非常止め装置とは、エレベーターの安全装置の一つです。

エレベーターが何らかの原因で、決められた速度を超過したり、ワイヤーロープが切断した場合に作動し、カゴの落下を防止します。

非常止め装置の法令について

非常止め装置に関する法令は、次のとおりです。

建築基準法施行令 第129条の10
四)次のイ又はロに定める装置。
イ かごの降下する速度が第二号に掲げる装置が作動すべき速度を超えた場合(かごの定格速度が45メートル以下のエレベーターにあっては、かごの降下する速度が同号に掲げる装置が作動すべき速度に達し、又はこれを超えた場合)において毎分の速度が定格速度に相当する速度の1.4倍(かごの定格速度が45メートル以下のエレベーターにあっては、68メートル)を超えないうちにかごの降下を自動的に制止する装置(かごの定格速度が45メートルを超えるエレベーター又は斜行式エレベーターにあっては次第ぎき非常止め装置、その他のエレベーターにあっては早ぎき非常止め装置又は次第ぎき非常止め装置に限る。ロにおいて同じ。)。

非常止め装置が作動するまでの流れ

メインワイヤーロープが切断する等の理由で、かごが落下してから停止するまでの流れは、次の通りです。

  1. 1、かごの速度が異常に速くなる
  2. 2、調速機が検知
  3. 3、定格速度の1.3倍を超えないうちに、調速機が動力を切る(過速スイッチ機能)
  4. 4、過速スイッチの作動後も過速を続けた場合、定格速度の1.4倍を超えないうちに、調速機が非常止め装置を作動(非常止め装置作動機能)
  5. 5、非常止め装置がガイドレールをつかみ、かごを停止させる

調速機が昇降速度を測定する仕組み

エレベーターの昇降速度は、調速機(ガバナ)という装置が監視・異常な過速状態を検出しています。
仕組みを解説すると、昇降速度は、ガバナロープ(調速機用のロープ)を介して、調速機に伝えられます。調速機には振子が付いており、昇降速度が上がると、振子が開いていきます。過速状態になると、その振子が大きく開き、普段触れることのないスイッチに触れます。

なお、調速機には、「ディスク形」と「フライボール形」があります。

非常止め装置の種類

非常止め装置には、「早ぎき式」「次第ぎき式」「スラックロープ式」の3種類があります。

それぞれの違いを見ていきましょう。

早ぎき式

早ぎき式(はやぎきしき)は、異常を感知すると、カゴを瞬時に停止させます。

ただし、カゴを瞬時に停止させると、カゴへの衝撃が大きくなります。

そのため、早ぎき式を取り付けられるのは、「定格速度が分速45m以下のエレベーター」に限られます。

次第ぎき式

次第ぎき式(しだいぎきしき)は、異常を感知すると、カゴを徐々に停止させます。

高速エレベーターが急停止すると、カゴに大きな衝撃がかかり、乗客に危険を及ぼすおそれがあります。

そのため、定格速度が「分速45mを超えるエレベーター」は、次第ぎき式のみ取り付けることができます。

減速距離について
次第ぎき非常止め装置の減速距離は、JIS A 4302-2006(昇降機の検査標準)に示されてた停止距離の範囲内に収まらなければならないとされています。この停止距離は、平均減速度2~9.8m/s²相当です。
どのエレベーターに早ぎき式と次第ぎき式を取り付けられるのか-まとめ
  分速45m以下の
エレベーター
分速45m超えの
エレベーター
早ぎき式 ×
次第ぎき式

○=取付可能 ×=取付不可

関連記事:【歴史】エレベーター普及のきっかけ、落下防止装置の発明

スラックロープ式

エレベーターが「積載荷重3,100以下」「定格速度45m/分以下」「昇降行程13m以下」の場合、非常止め装置をスラックロープ式にすることができます。

スラックロープ式非常止め装置とは、ロープの緩みを検出する安全装置です。※スラック(slack)を日本語訳すると「緩み」という意味。

また、緩みを検出するロープについては、「1本」または「全数」どちらでも良いとされています。

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