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小荷物専用昇降機(ダムウェーター)/フロアタイプ(ADF型)

小荷物専用昇降機(ダムウェーター)の法令(建築基準法)

このページでは、ダムウェーター(正式名称:小荷物専用昇降機)の法令についてまとめています。

小荷物専用昇降機とは(定義)

小荷物専用昇降機とは、「昇降機」の一種であり、建築基準法施行令第129条の3で定義された用語です。

(昇降機)
第三十四条  建築物に設ける昇降機は、安全な構造で、かつ、その昇降路の周壁及び開口部は、防火上支障がない構造でなければならない。
出典:建築基準法第34条

(適用の範囲)
第百二十九条の三  この節の規定は、建築物に設ける次に掲げる昇降機に適用する。
三  物を運搬するための昇降機で、かごの水平投影面積が一平方メートル以下で、かつ、天井の高さが一・二メートル以下のもの(以下「小荷物専用昇降機」という。)
2  前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる昇降機については、それぞれ当該各号に掲げる規定は、適用しない。
三  特殊な構造又は使用形態の小荷物専用昇降機で国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの 第百二十九条の十三の規定
出典:建築基準法施行令第129条の3

解説

小荷物専用昇降機は、物を運搬するための昇降機です。荷物専用のため人は乗れません。
水平投影面積とは、建物や土地などを真上から見たときの面積をいい、凹凸や斜面があっても、水平とみなして測定されます。

関連記事:小荷物専用昇降機(ダムウェーター)とは

小荷物専用昇降機の構造

小荷物専用昇降機の構造は、建築基準法施行令第129の13で規定されています。

(小荷物専用昇降機の構造)
第百二十九条の十三  小荷物専用昇降機は、次に定める構造としなければならない。
一  昇降路には昇降路外の人又は物がかご又は釣合おもりに触れるおそれのないものとして国土交通大臣が定める基準に適合する壁又は囲い及び出し入れ口の戸を設けること。
二  昇降路の壁又は囲い及び出し入れ口の戸は、難燃材料で造り、又は覆うこと。ただし、地階又は三階以上の階に居室を有さない建築物に設ける小荷物専用昇降機の昇降路その他防火上支障のないものとして国土交通大臣が定める小荷物専用昇降機の昇降路にあつては、この限りでない。
三  昇降路のすべての出し入れ口の戸が閉じた後、かごを昇降させるものであること。
四  昇降路の出し入れ口の戸には、かごがその戸の位置に停止していない場合においては、かぎを用いなければ外から開くことができない装置を設けること。ただし、当該出し入れ口の下端が当該出し入れ口が設けられる室の床面より高い場合においては、この限りでない。
出典:建築基準法施行令第129の13

解説

第一号
詳細は、平成12年5月31日 建設省告示1446号で定められています。

建築基準法施工令第129条の13第一号に規定する小荷物専用昇降機の昇降路外の人又は物がかご又は釣合おもりに触れるおそれのない壁又は囲い及び出し入れ口の戸の基準は、次のとおりとする。
一 昇降機は、次のイからニまでに掲げる部分を除き、壁又は囲いで囲むものであること。
 イ 昇降路の出し入れ口
 ロ 機械室に通ずる主索、電線その他のものの周囲
 ハ 昇降路の頂部及び底部
 ニ 保守点検に必要な開口部(かぎを用いなければ昇降路外から開くことができない施錠装置を設けた戸を設けるものに限る。)であって、次の(1)又は(2)のいずれかに該当するもの
   (1)出し入れ口の床面から開口部の下端までの高さが1.8m以上であるもの
   (2)自動的に閉鎖する戸(当該戸を自動的に施錠する機能を有する施錠装置を設けたものに限る。)を設けるもの
二 昇降路の壁又は囲い及び出し入れ口の戸は、任意の5㎠の面にこれと直角な方向の300Nの力が昇降路外から作用した場合において、次のイ及びロに適合するものであること。
 イ 15㎜を超える変形が生じないものであること。
 ロ 塑性変形が生じないものであること。
三 昇降路の壁又は囲い及び出し入れ口の戸の全部又は一部(構造上軽微な部分を除く。)に使用するガラスは、合わせガラス(日本工業規格 R3205に適合するものに限る。)又はこれと同等以上の飛散防止性能を有するものであること。
四 昇降路の出し入れ口の戸は、昇降路外の人又は物による衝撃により容易に外れないものであること。
五 昇降路の出し入れ口の戸は、空隙のないものであること。
六 昇降路の出し入れ口の戸は、上げ戸または上下戸とすること。
七 上げ戸又は上下戸である昇降路の出し入れ口の戸は、閉じたときに、次のイからニまでに掲げるものを除き、すき間が生じないものであること。
 イ 昇降路の出し入れ口の戸と出し入れ口枠のすき間で6㎜以下のもの。
 ロ 上げ戸にあっては、昇降路の出し入れ口の戸と敷居のすき間で、2㎜(戸の敷居に面する部分に難燃性ゴムを使用するものにあっては、4㎜)以下のもの。
 ハ 上下戸にあっては、昇降路の出し入れ口の戸との突き合わせ部分のすき間で、2㎜(戸の突き合わせ部分に難燃性ゴムを使用するものにあっては、4㎜)以下のもの。
 ニ 二枚の戸が重なり合って開閉する構造の上げ戸である昇降路の出し入れ口の戸にあっては、重なり合う戸のすき間で、6㎜以下のもの。
八 昇降路の出し入れ口の戸は、安全かつ円滑に開閉するものであること。
出典:平成12年5月31日 建設省告示1446号

第二号
小荷物専用昇降機の昇降路の壁および乗場の戸の材料は、難燃材料(不燃材料、準不燃材料も含まれる。)とする必要がある。ただし、平成12年5月31日 建設省告示1416号第3に規定する下記の要件のいずれかを満たしている場合には、昇降路及び出し入れ口の材料を難燃材料以外のものとすることができる。
(1)主要構造部を準耐火構造以外の構造とした建築物に設ける昇降路の場合
(2)昇降路のすべての出入口が1の階にあるもの
(3)昇降路のすべての出入口が1の吹抜きのみにあるもの
(4)階数が3以下で延べ面積が200㎡以内の一戸建ての住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸に設ける小荷物専用昇降機の昇降路の場合

第三号
昇降路のすべての出し入れ口の戸が閉じた後、かごを昇降させるものとは、”扉感知装置”となります。

第四号
かごがその階に停止していない場合は、出し入れ口の戸に機械的施錠装置を設けなければならない。ただし、テーブルタイプ(コンパクトタイプ)は、人が昇降路に入り込むおそれがないことから、これを設けなくてもよいとしています。

<<設計上の留意事項>>
小荷物専用昇降機の構造において、本条で定められているもの以外については、主索等の構造上主要な部分の強度を含めて、エレ協標準JEAS-A521が参考になります。

※エレ協標準=日本エレベータ協会標準集

確認等を要する建築設備(確認申請)

建築基準法施行令第146条で「確認等を要する建築設備(確認申請)」について定められています。

(確認等を要する建築設備)
第百四十六条  法第八十七条の二 (法第八十八条第一項 及び第二項 において準用する場合を含む。)の規定により政令で指定する建築設備は、次に掲げるものとする。
一  エレベーター及びエスカレーター
二  小荷物専用昇降機(昇降路の出し入れ口の下端が当該出し入れ口が設けられる室の床面より高いことその他の理由により人が危害を受けるおそれのある事故が発生するおそれの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)
三  法第十二条第三項 の規定により特定行政庁が指定する建築設備(屎尿浄化槽及び合併処理浄化槽を除く。)
出典:建築基準法施行令第146条

解説

小荷物専用昇降機は、第二号の規定により、特定行政庁が指定する建築設備に含まれる可能性があります。その場合は、確認申請が必要となるため注意が必要です。

関連記事:小荷物専用昇降機(ダムウェーター)の確認申請について

定期検査

建築基準法第12条第3項で「報告、検査等(定期検査)」について定められています。

(報告、検査等)
3  昇降機及び第六条第一項第一号に掲げる建築物その他第一項の政令で定める建築物の昇降機以外の建築設備(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物に設けるものを除く。)で特定行政庁が指定するものの所有者は、当該建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者に検査(当該建築設備についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
出典:建築基準法第12条第3項

建築基準法施行規則第6条第1項で「定期検査の報告時期」について定められています。

(建築設備等の定期報告)
第六条  法第十二条第三項 (法第八十八条第一項 又は第三項 において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による報告の時期は、建築設備、法第六十六条 に規定する工作物(高さ四メートルを超えるものに限る。)又は法第八十八条第一項 に規定する昇降機等(以下「建築設備等」という。)の種類、用途、構造等に応じて、おおむね六月から一年まで(ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、一年から三年まで)の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(法第十二条第三項 の規定による指定があつた日以後の設置又は築造に係る建築設備等について、設置者又は築造主が法第七条第五項 又は法第七条の二第五項 の規定による検査済証の交付を受けた場合においては、その直後の時期を除く。)とする。
出典:建築基準法施行規則第6条第1項

解説

定期検査とは、おおむね6ヶ月~1年ごとに昇降機検査資格者等(一級建築士または二級建築士または昇降機検査資格者)が行う検査です。ただし、小荷物専用昇降機は、特定行政庁(都道府県、市区町村など)によって、定期検査の要否が異なります。

関連記事:小荷物専用昇降機(ダムウェーター)の定期検査と保守点検

保守点検

建築基準法第8条で「維持保全(保守点検)」について定められています。

(維持保全)
第八条  建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。
出典:建築基準法第8条

解説

この建築基準法第8条を遵守するために、一般財団法人日本建設・昇降機センターで「昇降機の維持及び運行の管理に関する指針」が掲載されています。

第 12 定期点検・整備等
1 所有者等は、昇降機の維持及び運行の安全を確保するため、使用頻度等に応じて専門技術者 に、おおむね1月以内ごとに、点検その他必要な整備又は補修を行わせるものとする。
2 所有者等は、前項の点検等を行った場合は、その記録を3年以上保存すること。
出典:昇降機の維持及び運行の管理に関する指針

関連記事:昇降機の維持及び運行の管理に関する指針とは

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