この記事では、防爆や電気機器の防爆構造について解説します。
防爆とは、爆発性ガスが漏れることを防ぎ、点火源と混ざり合わないように対策をおこなうことです。工場や事業場で爆発性ガスが漏れ出すと、そこに点火源があれば爆発する可能性があります。
爆発性ガスって?:
空気中または酸素中で燃えるガスのことです。身近な爆発性ガスとして、都市ガスやプロパンガスや揮発性の高いシンナーやガソリン類などのガス燃料があげられます。
点火源って?:
点火源は燃焼のきっかけとなるものです。身近な例ではたばこやマッチ、火花、静電気、摩擦熱などが当てはまります。
爆発させないため、電気機器に「耐圧防爆構造」「本質安全防爆構造」「内圧防爆構造」「安全増防爆構造」などの防爆構造をもたせます。
目次
防爆構造とは、電気機器が点火源となって、周囲に存在する爆発性ガスに点火させることがないように、電気機器に適用する技術的手法のことです。
電気機器に防爆構造をもたせるには、次のような方法があります。
耐圧防爆構造とは、内部で爆発性ガスの爆発が起こった場合に、制御盤がその圧力に耐え、かつ、外部の爆発性ガスに引火するおそれのないようにした防爆構造のこと。鋳物などで加工して制御盤全体を覆います。
周囲の爆発性ガスが内部に侵入したことで爆発が発生した際、その火炎により周囲の爆発性ガスに着火しないという意味での点火源の実質的な隔離となります。
本質安全防爆構造とは、正常時および事故時に発生する電気火花、または高温部により爆発性ガスに点火しないことが、公的機関において試験その他によって確認された防爆構造のこと。
非防爆エリアに制御盤などの容器をもっていき、バリアユニットを経由させ電流値を低くして発火しにくい仕組みをとっています。
容器って?:
電気機器において、その露出や感電する危険性のある部分を取り囲んでいる外枠
耐圧防爆構造など、他の防爆構造は正常な使用状態において防爆性能があるのに対して、本質安全防爆構造は規格で定められた電気回路の故障状態においても防爆性能があります。
内圧防爆構造とは、容器の内部に保護気体を圧入して、外部の圧力を超える値に内圧を保つことによって爆発性ガスが侵入するのを防止した防爆構造のこと。
保護気体って?:
清浄な空気や、窒素などの不活性ガスのこと
内圧防爆構造の装置は、運転前に容器内のガスを外へ押し出して保護ガスを圧入する構造となっています。
保護ガスの内部圧力は、外圧より常に50Pa(パスカル)以上高く保つように決められており、これによって外部からのガスの侵入を防いでいます。
運転中に内圧が規定値以下になったときは、警報を出すか、または運転を停止させる保護装置が必要です。防爆エリアにおいては、厳密に審査し検定に合格した内圧防爆構造の装置のみ使用が認められています。
保護装置って?:
制御盤の保護ガスの供給運転や、圧力低下検出の異常時に通電を停止するなど、爆発性ガスの中で防爆性能を維持するために必要なもの
エアーパージ方式って?:
例えば化学工場で防食のために、内圧防爆構造と同じような方法で、清浄な空気を圧入して腐食性ガスの侵入を防ぐようにしたものをエアーパージ方式と呼んでいます。
防爆エリアでエアーパージ方式は使えますか?
使えないよ。防爆エリアで使うなら、防爆検定品が必要になるからね。
空気を圧入すれば爆発性ガスが入らないので、エアーパージ方式でも安全なんじゃないんですか?
内部圧力の監視や保護動作が厳密に決められていた検定品でないと使えないんだよ。
エアーパージ方式は、内圧防爆構造にあるような保護装置がないため、内圧が低下してガスが侵入すると爆発事故を起こす恐れがあり、防爆エリアに適応できません。
安全増防爆構造とは、電気火花や異常な高温を発することのない電気機器を容器内へ収納するとともに、接触不良や断線などの故障が起こりにくいような技術的手法を施した防爆構造のこと。
正常な運転中や操作時に、点火源とならない電気機器に限定して適用できる防爆構造で、接点開閉器や高温発生部などのある電気機器は、安全増防爆構造にはできません。
例えば、押しボタンスイッチのように正常時にも点火源となる電気機器を、安全増防爆構造の容器に取り付けて使用する場合、スイッチの接点部は耐圧防爆構造にする必要があります。
防爆は、爆発性ガスの漏洩を防止し、点火源と混ざり合わないように対策を行うということ。
電気機器にもたせる防爆構造として、「耐圧防爆構造」「本質安全防爆構造」「内圧防爆構造」「安全増防爆構造」があげられます。
防爆エリアへ昇降機を設置する場合も、電気機器に防爆構造をもたせる必要があります。例えば、化学薬品工場に荷物用エレベーターや垂直搬送機を設置する場合などです。
不明点などがあれば、一度ご相談ください。