昇降機の豆知識

投稿日 2015/12/07
更新日 2022/07/05

垂直搬送機とは?建築基準法上は昇降機に該当せず、確認申請・定期検査が不要

工場

垂直搬送機とは、荷物を目的階(垂直)に移動させるための搬送設備です。

荷物を荷台に搬入・搬出するときは、コンベヤ・トレー等を使用し、人が直接介入しない構造となっています。

※荷物専用のため、人は乗れません。

主に、工場、倉庫、物流センターで採用されており、台車・パレットはもちろん、大量の商品を短時間で搬送することも可能です。

法令

垂直搬送機は、建築基準法における「昇降機」に該当しません。

そのため、建築基準法の「確認申請」や「定期検査」が不要となります。

昇降機の定義

なぜ、垂直搬送機は、昇降機に該当しないのでしょうか?

それを知るために、建築基準法における昇降機の定義を確認しましょう。

(昇降機)
第三十四条  建築物に設ける昇降機は、安全な構造で、かつ、その昇降路の周壁及び開口部は、防火上支障がない構造でなければならない。
2  高さ三十一メートルをこえる建築物(政令で定めるものを除く。)には、非常用の昇降機を設けなければならない。

出典:建築基準法第三十四条

建築基準法における「昇降機」とは、「一定の昇降路、経路その他これに類する部分を介して、動力を用いて人又は物を建築物のある階又はある部分から他の階又はある部分へ移動・運搬のための設備」をいいます。

※このうち、建築物に設けられるもの、すなわち建築基準法でいう建築設備(法第2条第三号)に該当するものが建築基準法第三十四条の対象となる。

昇降機に該当しないもの

ただし、次の(1)から(3)に掲げる施設は建築物に設ける移動・運搬のための設備で、昇降機に該当しないものとして扱われます。

(1)工場、作業場等に生産設備又は搬送(荷役)設備として専らそれらの過程の一部に組込まれる施設で、人が搬器の品物の搬出、搬入に直接介入せずに使用され、かつ、人が乗り込んだ状態で運転されるおそれのない構造となっているもの

昇降機に該当しない搬送設備の例

(2)機械式駐車場(機械式駐輪場を含む。)、立体自動倉庫等の物品の管理のための施設(当該施設に搬入された品物等が自動的に搬出位置に運搬される構造になっているものに限る。)の一部を構成するもので、人が乗り込んだ状態で運転されるおそれのない構造となっているもの

(3)舞台装置であるせり上がり装置

つまり、垂直搬送機は、「昇降機に該当しないもの(1)」に当てはまるため、昇降機ではありません。

確認申請

続いて、確認申請について確認しましょう。

確認申請とは、建築設備(昇降機)の工事を着工する前に、その計画が法令に適合しているかを審査することです。

確認申請に関しては、建築基準法施行令第百四十六条第1項第1号で定められています。

(確認等を要する建築設備)
第百四十六条  法第八十七条の二 (法第八十八条第一項 及び第二項 において準用する場合を含む。)の規定により政令で指定する建築設備は、次に掲げるものとする。
一  エレベーター及びエスカレーター
二 小荷物専用昇降機(昇降路の出し入れ口の下端が当該出し入れ口が設けられる室の床面より高いことその他の理由により人が危害を受けるおそれのある事故が発生するおそれの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)
二  法第十二条第三項 の規定により特定行政庁が指定する建築設備(屎尿浄化槽及び合併処理浄化槽を除く。)

出典:建築基準法施行令第百四十六条

上記から、確認等(確認申請)が必要になるのは、

  • エレベーター
  • エスカレーター
  • 小荷物専用昇降機のフロアタイプ
  • 特定行政庁が指定する建築設備

となります。

垂直搬送機は、エレベーター、エスカレーターではありません。

また、建築基準法第二条から建築設備にも当てはまりません。

建築設備 建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう。

出典:建築基準法第二条

上記から、垂直搬送機は、電気、ガス、給水などに当てはまらず、昇降機にも該当しない。

つまり、垂直搬送機は、確認申請が不要となります。

※建築設備としての確認申請が不要という意味です。垂直搬送機の設置にあたり、防火区画等、関連法令の確認が必要となるケースがあります。

定期検査

定期検査に関しては、建築基準法第一二条第三項で定められています。

(報告、検査等)
3  昇降機及び第六条第一項第一号に掲げる建築物その他第一項の政令で定める建築物の昇降機以外の建築設備(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物に設けるものを除く。)で特定行政庁が指定するものの所有者は、当該建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者に検査(当該建築設備についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

出典:建築基準法第一二条第三項

上記から、確認等(確認申請)が必要になるのは、

  • 昇降機
  • 第六条第一項第一号に掲げる建築物
  • その他第一項の政令で定める建築物の昇降機以外の建築設備(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物に設けるものを除く。)で特定行政庁が指定するもの

となります。

垂直搬送機は、上記に当てはまらないため、定期検査は不要となります。

まとめ

・垂直搬送機は、建築基準法上、昇降機に該当しない。

・昇降機に該当しないため、確認申請と定期検査は、不要である。

※ただし、安全保持と性能維持のため、建築基準法第八条に基づく保守点検は必要になります。

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