いす式階段昇降機法令（建築基準法）「エスコートスリム」

いす式階段昇降機は、建築基準法施行令「第百二十九条の三第二項第一号」の規定に基づき定められた特殊な構造又は使用形態のエレベーター及びエスカレーターの構造方法を定める件で定義されています。

いす式階段昇降機の定義

いす式階段昇降機は、1人の乗客がいすに座った状態で階段または傾斜路に沿って昇降するエレベーターです。

十 階段及び傾斜路に沿って一人の者がいすに座った状態で昇降するエレベーターで、定格速度が九メートル以下のもの 令第百二十九条の六第五号及び第百二十九条の七第五号の規定によるほか、次に定める構造とすること。
イ 昇降はボタン等の操作によって行い、ボタン等を操作し続けている間だけ昇降する構造とすること。
ロ 人又は物がかごと階段又は床との間に強く挟まれた場合にかごの昇降を停止する装置を設けること。
ハ 転落を防止するためのベルトを、背もたれ、ひじ置き、座席及び足を載せる台を有するいすに設けること。

出典：特殊な構造又は使用形態のエレベーター及びエスカレーターの構造方法を定める件

いす式階段昇降機の構造

「特殊な構造又は使用形態のエレベーター及びエスカレーターの構造方法を定める件」では、いす式階段昇降機の構造について次のように定められています。

昇降速度

椅子が階段を昇降するときの定格速度は、毎分9m以下と定められています。

操作について

いす式階段昇降機は、「操作ボタンを押している間」または「操作レバーを倒している間」だけ動き、操作ボタンまたは操作レバーから手を離すと直ちに自動停止する構造と定められています。

この構造は、介助者が操作するリモートコントロール（遠隔操作）についても同様です。

イ 昇降はボタン等の操作によって行い、ボタン等を操作し続けている間だけ昇降する構造とすること。

障害物検知装置

ロ 人又は物がかごと階段又は床との間に強く挟まれた場合にかごの昇降を停止する装置を設けること。

シートベルト

ハ 転落を防止するためのベルトを、背もたれ、ひじ置き、座席及び足を載せる台を有するいすに設けること。

いす式階段昇降機の制動装置

いす式階段昇降機の制動装置（速度を落としたり、ブレーキをかけること）については、建築基準法施行令「第百二十九条の十第二項」の規定に基づく、エレベーターの制動装置の構造方法を定める件で定められています。

第7 いす式階段昇降機（平成12年建設省告示第1413号第一第八号に定める昇降機をいう。）の制動装置の構造方法は、次に掲げる装置を設けた構造とすることとする。
一 操縦機の操作をする者が操作をやめた場合において操縦機がかごを停止させる状態に自動的に復する装置
二 主索又は鎖が緩んだ場合において動力を自動的に切る装置
三 動力が切れたときに惰性による原動機の回転を自動的に制止する装置
四 かご又はつり合おもりが昇降路の底部に衝突しそうになった場合においてこれに衝突しないうちにかごの昇降を自動的に制御し、及び制止する装置
五 主索又は鎖が切れた場合においてかごの降下を自動的に制止する装置

出典：エレベーターの制動装置の構造方法を定める件

緩み検知装置

いす式階段昇降機のかごを”主索（ロープ）”または”くさり”で吊っている場合、緩みを検出したら自動的に動力を切る”緩み検知装置”を設けなければなりません。

二 主索又は鎖が緩んだ場合において動力を自動的に切る装置

かごを安全に停止させる制動装置

いす式階段昇降機が昇降中に動力が絶たれたとき、かごを安全かつ素早く停止させる”制動装置”を設けなければなりません。

三 動力が切れたときに惰性による原動機の回転を自動的に制止する装置

リミットスイッチとファイナルリミットスイッチ

いす式階段昇降機の椅子が行き過ぎるのを制御する”リミットスイッチ”を上部乗場と下部乗場に設けなければなりません。

また、リミットスイッチが作動しなかった場合に備えて、ファイナルリミットスイッチを設けなければなりません。

四 かご又はつり合おもりが昇降路の底部に衝突しそうになった場合においてこれに衝突しないうちにかごの昇降を自動的に制御し、及び制止する装置

非常止め装置

いす式階段昇降機のかごを”主索（ロープ）”または”くさり”で吊っている場合、主索またはくさりが切れたら、自動的にかごを停止させる”非常止め装置”を設けなければなりません。

五 主索又は鎖が切れた場合においてかごの降下を自動的に制止する装置

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