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昇降機の豆知識

投稿日 2025/01/21
更新日 2025/01/27

マンションのエレベーター設置は何階から必要?設置基準や最新機能を解説

マンションのエレベーター設置は何階から必要?設置基準や最新機能を解説

実は、マンションのエレベーターには法律で定められた設置基準があり、建物の規模や用途によって必要な基数も変わってきます。また、近年では省エネ性能の向上や、防犯・感染症対策など、エレベーターに求められる機能も大きく変化しています。

「快適な暮らしのために、エレベーターについてもっと知っておきたい」「より安全で使いやすいエレベーターを選びたい」。そんなマンション購入検討中の方や、管理組合の皆様のために、マンションエレベーターの基礎知識から最新の技術動向まで、わかりやすく解説していきます。

マンションのエレベーター設置義務は?

マンションにおけるエレベーター設置は、建物の高さや用途によって法律で定められています。建築基準法による一般的な基準から、高齢者向け住宅の特別な規定、さらには地域独自の条例まで、様々な基準が存在します。

建築基準法で定められた設置基準:高さ31m以上の建物には設置義務あり

建築基準法では、高さが31mを超える建物にはエレベーターの設置が義務付けられています。これは、高層建築物における居住者や利用者の移動の利便性、そして災害時などの避難経路の確保を目的としています。

31mという高さは、一般的なマンションでいうと、およそ7階~10階建てに相当します。つまり、それ以上の高さのマンションは、法律上必ずエレベーターを設置しなければならないのです。

高さ31mは約7階~10階建てに相当

前述の通り、高さ31mは、一般的なマンションでいうと7階~10階建てに相当します。ただし、これはあくまで目安であり、階高(各階の床から天井までの高さ)によって多少前後します。

例えば、階高が高いマンションであれば、6階建てでも31mを超える場合がありますし、逆に階高が低いマンションであれば、10階建てでも31mに満たない場合があります。そのため、マンションの階数だけで判断するのではなく、建物の高さそのものを確認することが重要です。

6階建て以下のマンションでもエレベーターが設置されているケースが多い理由

建築基準法では31m以上の建物に設置義務がありますが、6階建て以下のマンションでもエレベーターが設置されているケースは少なくありません。その理由はいくつかあります。まず、高齢化社会が進み、高齢者や足腰の弱い方でも快適に生活できる住環境が求められていることが挙げられます。

また、重い荷物やベビーカーなどを持って階段を上り下りする負担を軽減したいというニーズも高まっています。さらに、分譲マンションの場合は、将来的なリセールバリュー(再販価値)を高めるために、エレベーターを設置するケースも多いです。これらの理由から、法律上の義務がない場合でも、エレベーターを設置するマンションが増えているのです。

高齢者向け住宅は3階建て以上で設置義務あり

高齢者向け住宅(サービス付き高齢者向け住宅など)は、一般のマンションとは異なり、高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)によって、3階建て以上でエレベーターの設置が義務付けられています。これは、これは高齢者の身体的負担を考慮し、安全で快適な生活環境を確保するためです。

高齢者にとって、階段の上り下りは大きな負担となる場合が多く、転倒などのリスクも高まります。そのため、高齢者向け住宅では、より低い階数からエレベーターの設置が義務付けられているのです。

自治体独自の条例で設置基準が異なる場合もある

建築基準法は国の法律ですが、自治体によっては独自の条例でエレベーターの設置基準を定めている場合があります。例えば、バリアフリー化を推進している自治体では、より低い階数からエレベーターの設置を義務付けていたり、既存の建物にエレベーターを設置する際の補助金制度を設けていたりする場合があります。

エレベーター付きマンションのメリット・デメリット

エレベーターの有無は、日常生活の快適性から資産価値まで、様々な面で影響を及ぼします。ここでは、エレベーター付きマンションの特徴について、メリットとデメリットの両面から詳しく解説していきます。

エレベーター付きマンションのメリット

エレベーター付きマンションには、生活の利便性向上、安全性確保、資産価値の維持など、多くのメリットがあります。

階数移動が楽になり、生活の質が向上する

エレベーターの最大の利点は、高層階への移動が非常に楽になることです。特に日常的な買い物や通勤時の負担が大幅に軽減されます。例えば、重いスーパーの買い物袋を持って5階まで階段で上がる場合と比べると、その違いは歴然です。また、高層階に住んでいても、外出頻度が減ることなく活動的な生活を送ることができます。

高齢者や小さな子どもがいる家族でも安心・安全

高齢者や足腰の弱い方、小さな子どもがいる家族にとって、エレベーターは安全な移動手段となります。階段での転倒などのリスクを避けることができ、安心して生活を送ることができます。特に、高齢者と同居している場合、エレベーターの有無は生活の質に大きく影響します。

また、将来的な住み続けやすさという観点からも、エレベーターの存在は大きな安心材料となります。具体的には、40代で購入したマンションを、20年後の高齢期になっても快適に使い続けることができます。

重い荷物や大きな家具を運ぶ際に便利

引っ越しや模様替えなどで重い荷物や大きな家具を運ぶ際、エレベーターは非常に役立ちます。階段を使って運ぶのは大変な労力が必要となりますが、エレベーターがあればスムーズに搬入することができます。例えば、新しく冷蔵庫を購入した場合、エレベーターがなければ搬入作業は非常に困難になります。

リセールバリューが高く、売却しやすい

不動産市場において、エレベーターの有無は物件の価値を大きく左右します。特に高層階の物件は、エレベーターがないと価値が大きく下がってしまうため、エレベーターの有無は資産価値に大きく影響します。

エレベーター付きマンションのデメリット

エレベーター付きマンションには多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。

管理費・修繕積立金が高くなる傾向

エレベーターの維持管理には費用がかかるため、エレベーター付きマンションは管理費や修繕積立金が高くなる傾向にあります。定期的な点検やメンテナンス、そして将来的な改修費用などを考慮する必要があるため、管理費が高くなるのは避けられません。

エレベーターの待ち時間が発生する可能性

特に朝の通勤時間帯や帰宅時間帯など、利用者が集中する時間帯には、エレベーターの待ち時間が発生する可能性があります。1台のエレベーターで50世帯以上をカバーしている場合、ピーク時には数分の待ち時間が発生する可能性があります。また、清掃や点検で停止している際には、一時的に不便が生じることもあります。

モーター音や人の話し声が騒音になることも

エレベーター近くの住戸では、機械音や利用者の会話が気になることがあります。特に、エレベーターホールに面した部屋では、深夜や早朝の利用音が睡眠を妨げる可能性があります。また、低層階でもエレベーター設備室からの振動や騒音が伝わることがあるため、部屋の選定時には設備の配置にも注意が必要です。

エレベーターなしマンションのメリット・デメリット

エレベーターがないマンションにも、独自の特徴があります。ここでは、その長所と短所について、具体的な事例を交えながら解説していきます。

エレベーターなしマンションのメリット

エレベーターなしマンションには、費用面や健康面でのメリットがあります。

購入価格・家賃が安い傾向

エレベーターがない分、建築コストや維持コストが抑えられるため、購入価格や家賃が安い傾向にあります。これは、初期費用を抑えたい方にとって大きなメリットとなります。

管理費・修繕積立金が安い

エレベーターの維持管理費用がかからないため、管理費や修繕積立金が安くなります。これは、ランニングコストを抑えたい方にとって魅力的な要素です。

エレベーターの騒音がなく静か

エレベーターの機械音や振動、利用者の話し声などが気にならないため、より静かな住環境を得られます。特に、深夜や早朝の生活音に敏感な方にとっては、この点が大きな魅力となります。また、エレベーターホールでの会話や人の往来による騒音もないため、プライバシーの確保という面でもメリットがあります。

階段の上り下りで運動不足解消

階段の上り下りは、適度な運動になります。日常的に階段を使うことで、運動不足解消に繋がる可能性があります。

エレベーターなしマンションのデメリット

エレベーターなしマンションには、生活の不便さや資産価値の面でのデメリットがあります。

階段の上り下りが負担になる

特に高層階の場合、日常生活での移動が大きな負担となります。例えば、買い物帰りの重い荷物を持っての移動や、体調が悪い時の階段利用は特に大変です。また、将来的な加齢による体力低下も考慮する必要があり、長期的な住み続けやすさという点では課題があります。

荷物の搬入や引っ越しが大変

重い荷物や大きな家具を搬入する際、階段を使って運ぶのは非常に大変です。引っ越しの際には、業者に依頼する費用も高くなる可能性があります。

市場価値が低く、売却しにくい

エレベーターがないマンションは、市場価値が低く、売却しにくい傾向にあります。特に高層階の物件は、エレベーターがないと買い手がつきにくいです。

マンションのエレベーターを選ぶ上でのチェックポイント

エレベーターの存在は、快適な住環境を実現する重要な要素です。ここでは、マンションのエレベーターを選ぶ際に確認しておきたいポイントを解説します。

エレベーターの台数:目安は50戸に1台

エレベーターの台数は、マンションの規模によって異なりますが、一般的には50戸に1台が目安と言われています。例えば、100戸のマンションであれば、2台のエレベーターが理想的です。エレベーターの台数が少ないと、特に朝の通勤時間帯や帰宅時間帯に待ち時間が長くなり、ストレスを感じる原因となります。そのため、マンションを選ぶ際には、総戸数に対してエレベーターの台数が適切かどうかを確認することが重要です。

エレベーターのサイズ:9人乗り以上がおすすめ

エレベーターのサイズも重要なチェックポイントです。特に、ファミリー層が多いマンションや、高層マンションでは、9人乗り以上のエレベーターがおすすめです。大きな荷物やベビーカー、車椅子などを運ぶ際に、ゆとりを持った空間があると便利です。また、災害時などの避難時にも、多くの人が一度に避難できるため、安心です。

防犯対策:防犯カメラや鏡の設置

エレベーターの防犯対策は、居住者の安全性を確保する上で極めて重要です。現代のマンションでは、複数の防犯設備を組み合わせた多層的な安全対策が標準となっています。防犯カメラは、かご内の死角をなくすように設置され、24時間録画することで不審者の抑止力となります。また、かご内に設置された鏡は、背後からの危険を察知できるだけでなく、車椅子利用者の方の後退時の安全確認にも役立ちます。

セキュリティの観点から重要な設備として、インターホンがあります。これらは緊急時に管理人室や警備会社へ直接通報できるシステムとなっており、特に夜間の安全確保に効果を発揮します。例えば、最新のシステムでは、音声通話に加えて映像通信機能を備えたものも増えており、より迅速な状況判断と対応が可能になっています。

安全対策:定期点検や非常用設備

エレベーターの安全性を維持するためには、定期的な点検と適切な非常用設備の設置が不可欠です。建築基準法では、おおむね月に1回程度の保守点検が義務付けられていますが、より安全性の高いマンションでは、週1回の目視点検を実施しているケースもあります。点検項目には、ドアの開閉動作、非常ボタンの作動確認、ブレーキシステムの点検などが含まれます。

非常用設備としては、停電時の自動着床装置や地震時管制運転装置が重要です。自動着床装置は、停電時でも最寄りの階に安全に着床できる機能で、閉じ込め事故を防止します。また、地震時管制運転装置は、地震発生時に自動的に最寄りの階に停止し、ドアを開放することで、乗客の安全を確保します。これらの設備は、災害時の安全性を大きく向上させる重要な機能となっています。

エレベーターの最新技術

エレベーター技術は急速に進化しており、より快適で効率的な移動手段となっています。ここでは、最新のテクノロジーとその具体的なメリットについて解説します。

AI搭載のスマートエレベーター

人工知能(AI)を活用したスマートエレベーターは、利用者の行動パターンを学習し、最適な運行を実現します。例えば、朝の通勤時間帯には高層階に、夕方は低層階にエレベーターを優先的に配置することで、待ち時間を大幅に削減できます。また、顔認証システムと連携することで、セキュリティを強化しながら、自動で目的階まで移動する機能も実用化されています。

省エネ・環境配慮設計

最新のエレベーターでは、環境負荷の低減と運転コストの削減を両立する技術が採用されています。例えば、回生電力システムは、エレベーターが下降する際の運動エネルギーを電力に変換して再利用することで、従来型と比べて大幅な省エネを実現します。

また、LEDライトの採用や、人感センサーによる照明の自動制御など、きめ細かな省エネ対策も標準装備となっています。特に注目すべき技術として、待機電力の最小化があります。従来のエレベーターでは、停止中でも制御システムの待機電力として一定の電力を消費していましたが、最新のシステムでは、この待機電力を従来と比べて大きく削減することに成功しています。

災害時対応機能の強化

近年の自然災害の増加を受けて、エレベーターの防災機能も大きく進化しています。地震発生時には、揺れが到達する前にエレベーターを最寄りの階に停止させ、乗客の安全を確保する機能や、地震発生後の復旧時には、建物の傾きや振動を自動的に検知し、安全が確認できた場合のみ運転を再開する機能も実装されています。

停電対策としては、非常用バッテリーの大容量化が進んでいます。最新のシステムでは、停電時でも最大2時間の運転が可能で、特に高齢者や障がい者の方の避難をサポートします。

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