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昇降機の豆知識

投稿日 2025/09/18
更新日 2025/09/23

エレベーターの乗り心地はモーター制御で決まる!VVVFと直流制動について解説

「最近、エレベーターの揺れ停止位置のズレが気になる」
「点検会社からVVVF(インバータ)化を勧められたが、効果や費用対効果がよく分からない」
そんなお悩みはありませんか。

実は、エレベーターの乗り心地・安全性・電気代は、かごを上下させる“モーター制御”で大きく変わります。
古い制御のままだと、振動/騒音の増加無駄な電力消費部品供給終了といったリスクが蓄積する一方、最新のVVVF制御へ切り替えると、滑らかな加減速省エネが同時に手に入ります。

本記事では、モーター制御の基礎からVVVF、そして直流制動(電気制動の一種)までを、専門外の方にも分かる言葉で解説します。

そもそもモーター制御とは?ただ回すだけではない、エレベーターの心臓部を操る技術

まず、モーター制御がエレベーターにとっていかに重要か、その基本的な役割から解説します。
モーター制御とは、単にモーターをON/OFFするだけでなく、その動きを自在にコントロールする技術です。

エレベーターの快適性や安全性は、この制御技術の精度に大きく依存しているのです。

モーター制御が担う3つの重要な役割(始動・停止、速度、位置)

エレベーターのモーター制御は、主に以下の3つの要素を極めて高い精度でコントロールしています。

  1. 滑らかな始動・停止
    利用者が不快に感じる「ガクン」という衝撃(ショック)なく、スムーズに動き出し、滑らかに停止させる。
  2. 最適な速度の維持
    加速・減速を滑らかに行い、定格速度を安定して維持する。
  3. 正確な位置決め
    目的の階床と乗り場に寸分の狂いなく、ピタッと正確に停止させる(着床精度)。

これらの緻密な制御が組み合わさることで、私たちは日々、安全で快適なエレベーターを利用できるのです。

なぜエレベーターに高度なモーター制御が必要なのか?

エレベーターは、人を乗せて垂直移動するという特性上、他の機械以上に安全性と快適性が求められます。
急発進や急停止は、乗客の転倒事故に繋がる危険性があります。

また、病院や高齢者施設などでは、わずかな揺れも許されない場合があります。
さらに、巨大なモーターを効率的に動かすことは、ビルの消費電力に大きな影響を与えます。

これらの厳しい要求に応えるため、エレベーターには時代と共に進化してきた、非常に高度なモーター制御技術が不可欠なのです。

乗り心地が劇的に進化!エレベーターの速度制御方式の種類

エレベーターの「ガクン」という衝撃や、停止時の段差は、モーターの速度制御方式の進化によって過去のものとなりました。

ここでは、かつての主流だった制御方式から、現在の常識である「VVVF制御」まで、その仕組みと特徴を比較し、技術の進化を見ていきましょう。

かつての主流「交流制御(一段・二段)」とその課題

1980年代頃まで主流だったのが、商用電源(交流)を直接、あるいは簡単な切り替えでモーターに流す「交流制御」です。
速度の段階が一つしかない「交流一段制御」や、「低速・高速」の二段階しかない「交流二段制御」などがありました。

  • 仕組み
    速度の切り替えが段階的(例えば、高速→低速→停止)なため、速度が変わる瞬間にどうしてもショックが発生しやすい。
  • 課題
    • 乗り心地が悪い
      動き出しや停止時に「ガクン」という衝撃が発生しやすい。
    • エネルギー効率が極めて悪い
      常にアクセル全開のままブレーキで速度調整する車のように、大量の電力を無駄に消費してしまいます。
    • 停止精度が低い
      階床との間に段差が生じやすい。

現在の主流!滑らかで省エネな「VVVF(インバータ)制御」の仕組み

現在、新設されるエレベーターの標準となっているのが、VVVF(Variable Voltage Variable Frequency)制御、通称「インバータ制御」です。

  • 仕組み
    インバータという電力変換装置が、モーターが必要とする最適な量の電気(電圧と周波数)を、その時々の状況に合わせて自在に作り出します。これにより、モーターの回転数を極めて滑らかに、かつ無駄なくコントロールできます。
  • メリット
    • 圧倒的に滑らかな乗り心地
      まるで高級車のように、スムーズに加速・減速し、停止時のショックもほとんどありません。
    • 大幅な省エネ効果
      必要な分だけのエネルギーしか使わないため、旧式の交流制御に比べ、消費電力を最大で50%以上削減することも可能です。
    • 高い停止精度
      階床との段差を数ミリ単位で制御でき、安全な乗り降りを実現します。

安全な停止の要!「ブレーキ」と「制動」の知られざる違い

エレベーターを「止める」仕組みを理解する上で、非常に重要なのが「ブレーキ」と「制動」の違いです。
この2つは役割が異なり、両者が協調することで、安全で快適な停止が実現します。

物理的に挟んで止める「機械ブレーキ」の役割

機械ブレーキは、電磁石の力でブレーキシュー(摩擦材)を動かし、モーターの回転軸を物理的に挟み込んで停止・保持する装置です。

その主な役割は、エレベーターが目的の階に完全に停止した状態を維持(保持)することです。

車の「パーキングブレーキ」のような役割と考えると分かりやすいでしょう。
走行中のエレベーターを急停止させるためのものではなく、あくまで最終的な停止と保持が目的です。

モーター自身の力で減速させる「電気制動」の役割

電気制動は、機械ブレーキをかける前に、エレベーターをスムーズに減速させるための仕組みです。
走行中のモーターの特性を電気的に変化させ、モーター自身を発電機として作用させるなどして、回転に抵抗(ブレーキ力)を生み出します。

車の「エンジンブレーキ」に似ており、機械的な摩擦に頼らずに滑らかに速度を落とすことができます。
これにより、機械ブレーキの負担を減らし、乗り心地を向上させる重要な役割を担っています。

電気の力でモーターを制する「直流制動」の仕組み

電気制動の中でも、特に旧式の制御方式で重要な役割を果たしてきたのが「直流制動」です。
その仕組みと役割を詳しく見ていきましょう。

直流制動とは?回転するモーターに直流電流を流す仕組み

直流制動(DCインジェクションブレーキ)とは、交流で回転しているモーター(誘導電動機)への電力供給を止めると同時に、モーター内に直流の電流を流し込む技術です。

交流モーターに直流電流を流すと、内部に回転しない固定的な磁界が発生します。
回転しようとするモーターの力と、回転させまいとする固定的な磁界の力が反発しあい、強力なブレーキ力が生まれるのです。

エレベーターにおける直流制動の具体的な役割(クリープ現象の防止)

直流制動は、特に旧式の「交流制御」エレベーターにおいて、停止時の精度を高めるために重要な役割を果たしました。
旧式の制御では、目的階の少し手前で低速運転に切り替わりますが、乗客の重さなどによって、停止位置が目標から少しずれてしまう「クリープ現象」が起きやすいという欠点がありました。

直流制動は、この低速域で強力なブレーキ力を発揮し、エレベーターを目標位置にピタッと安定させることで、床との段差が少ない、安全な停止を実現していました。

直流制動のメリットと注意点

  • メリット
    • 回路構成が比較的シンプル。
    • 低速域で非常に強力な制動力を得られる。
  • 注意点
    • モーターの運動エネルギーをすべてモーター自身の内部で熱として消費するため、モーターが高温になりやすい。
    • エネルギーを再利用しないため、省エネの観点からは非効率である。

省エネにも貢献!直流制動以外の「電気制動」技術

電気の力でモーターを減速させる「電気制動」には、直流制動以外にも、よりエネルギー効率に優れた方法が存在します。

特に、現在の主流であるインバータ制御(VVVF制御)と組み合わせることで、エレベーターの省エネ性能を飛躍的に向上させる技術について解説します。

エネルギーを再利用する「回生制動」

回生制動(かいせいせいどう)とは、減速時にモーターが発電機となり、発生した電気を建物の電力系統に戻して再利用する技術です。

これは、電気自動車やハイブリッドカーが、ブレーキをかけるとバッテリーが充電されるのと同じ原理です。
減速時に捨てられていた運動エネルギーを無駄にせず、照明や空調など、ビル内の他の設備で使う電力として有効活用します。

この技術は、主にインバータ制御(VVVF制御)と組み合わせて使用され、エレベーターの省エネ性能を最大化する上で欠かせないものとなっています。

エネルギーを熱として消費する「発電制動」

発電制動(はつでんせいどう)も、回生制動と同様に減速時にモーターを発電機として利用する技術です。
しかし、発生した電気を電力系統に戻すのではなく、ブレーキ用の抵抗器に送って熱として消費させる点が異なります。

エネルギーを再利用しないため、回生制動ほどの省エネ効果はありませんが、直流制動のようにモーター自身を痛めることなく、安全に減速させることができます。

【比較表】直流制動・回生制動・発電制動の違いと用途

これら3つの電気制動方式の違いを、以下の表にまとめました。
「回生制動」がいかに効率的かがお分かりいただけるかと思います。

制動方式仕組みエネルギー効率主な用途・特徴
直流制動モーターに直流電流を流し、熱でエネルギーを消費×(悪い)旧式の交流制御で、停止時の補助ブレーキとして使用。
発電制動モーターで発電した電気を、抵抗器で熱として消費△(普通)電源設備が対応していない場合などに使用。
回生制動モーターで発電した電気を、電源側に戻して再利用◎(非常に良い)最新のVVVF制御で採用され、高い省エネ効果を発揮。

まとめ:高度なモーター制御技術が、エレベーターの資産価値を守る

この記事では、エレベーターの心臓部である「モーター制御」について、その基本的な役割から、乗り心地を劇的に進化させた「速度制御」、そして安全な停止を支える「電気制動」まで、専門的な内容を詳しく解説してきました。

技術の進化の歴史を辿ることで、以下のことが明確になったかと思います。

  • 乗り心地の良し悪しは、モーター制御方式(旧式の交流制御か、現行のVVVF制御か)で決まる。
  • 安全な停止のためには、機械ブレーキだけでなく、「直流制動」をはじめとする電気制動が重要な役割を果たしている。
  • 最新のVVVF制御と回生制動の組み合わせは、快適性だけでなく、大幅な省エネ(電気代削減)にも貢献する。

もし、あなたが管理されているエレベーターの乗り心地(揺れ・停止精度)に課題を感じていたり、毎月の電気代が高いと感じていたりするならば、それはモーター制御方式が古いことが原因かもしれません。

古い制御方式を、最新のVVVF(インバータ)制御方式に入れ替える「制御リニューアル」は、エレベーター全体を交換するよりも費用を抑えつつ、性能を飛躍的に向上させられる、非常に費用対効果の高い投資です。

それは、単なる修繕に留まらず、居住者・利用者の満足度を高め、ビルの資産価値そのものを守り、向上させることに直結します。

モーター制御のような専門的な診断や、あなたの施設にとって最適なリニューアルプランのご提案も、ぜひ私たちアイニチ株式会社にお任せください。
現状を正確に把握し、お客様にとって最良の選択肢をご提案させていただきます。

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