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昇降機の豆知識

投稿日 2016/03/23
更新日 2023/10/27

エレベーターピットとは?ピットの深さや漏水の際の対処法について

ピットの深さを示した図

普段から利用するエレベーターの地下にはエレベーターピットと呼ばれる空間があります。
このエレベーターピットと呼ばれる場所で漏水が起きてしまうと、エレベーターの故障などに繋がる可能性があります。

この記事ではエレベーターピットの深さや漏水の原因・止水工事について解説いたします。

エレベーターピットとは

エレベーターピットとは「エレベーターが停止する最下階の床面からカゴの下の底面までの空間」のことを指します。

エレベーターの種類によってはこのピット内に設置されているものは変わってきますが、基本的にエレベーターを運用する上で必要な機材があります。
このピットの深さはエレベーターの速度によって異なりますが、最低でも1.2m以上あります。
※ホームエレベーター(家庭用エレベーター)などはピットが1.2m未満

エレベーターピットは地下にあるため、建築時にコンクリートを打ち込んで造ります。
重要な機材が収納される空間の為、コンクリートの打ち継ぎ部に止水板や水膨潤性シール材を施工し防水加工を行うことが一般的です。

エレベーターピットの深さについて

エレベーターのピットの深さは、カゴの昇降速度(定格速度)によって異なります。
※ピットの深さは、エレベーターの最下階の床面~昇降路の底部までを指します。

下記の表は、トラクション式および巻胴式エレベーターの「カゴの定格速度」と「ピットの深さ」を表にしたものです。

カゴの定格速度とピットの深さの表

かごの定格速度ピットの深さ
45m/分以下の場合(V≦45)1.2m
45m/分を超え、60m/分以下の場合(45<V≦60)1.5m
60m/分を超え、90m/分以下の場合(60<V≦90)1.8m
90m/分を超え、120m/分以下の場合(90<V≦120)2.1m
120m/分を超え、150m/分以下の場合(120<V≦150)2.4m
150m/分を超え、180m/分以下の場合(150<V≦180)2.7m
180m/分を超え、210m/分以下の場合(180<V≦210)3.2m
210m/分を超え、240m/分以下の場合(210<V≦240)3.8m
240m/分を越える場合(240<V)4.0m

V=定格速度

例えば、カゴの定格速度が65m/分のとき、ピットの深さは1.8m以上必要になります。
なお参考として、一般的なマンションのエレベーターの定格速度は、45m~105m/分です。

エレベーターピット内の漏水について

漏水と聞くと、雨漏りをイメージするかもしれません。
前述の通りエレベーターピットはエレベーターの地下にあります。

湧水や豪雨などにより水が地下部分まで染み込み蓄積していくと、エレベーターピットの入隅部分やひび割れ部分から、ピット内に浸水することにより水が溜まってしまうことがあります。
天井から水が漏れてくる訳ではないので、一見あまり実害がないようにも感じます。

しかし水が溜まってしまうと湿気が発生しやすくなり、エレベーター本体を支えている鉄骨やレール等が錆びたり、異臭を発生する可能性があります。
またエレベーターピットの近くにあるリミットスイッチや制御ケーブル等が劣化し、故障やトラブルの原因になります。

漏水を放置すると

エレベーターピット内の漏水を放置すると以下のようなことが起きる可能性があります。

  • バクテリアの繁殖による異臭の発生
  • 腐食による汚れ
  • 鉄骨や鉄筋が錆びてしまう
  • 機械が濡れてしまいエレベーターが故障する
  • エレベーターの老朽化
  • エレベーター周囲への漏水による劣化

中にはエレベーター設備の耐久性自体に悪影響を及ぼすものもあります。
その被害はエレベーターだけにとどまらず、建物全体の耐震強度にまで悪影響が及ぶでしょう。

漏水は放置せずに必ず早めに対応するように心がけましょう。

止水工事について

止水工事の代表的な工法が以下の2つです。

  • TACSS工法
  • IPH工法
TACSS工法建物の隙間に薬液(疎水性発泡ウレタン)を注入して漏水を止める工法
漏水だけでなく、地盤の止水・強化のために用いられるケースもあります。
IPH工法コンクリートの内部に樹脂を注入し、加圧状態で硬化させる工法
発泡ウレタンでは入り込むことのできない、細かいひび割れにも注入が可能。

工事に要する期間

止水工事に要する期間は「2~3日程度」とされています。

もちろん漏水の状況により変動するため、業者様と相談し確認しましょう。
また作業中は基本的にエレベーターは使用できなくなります。

相場価格について

止水工事の相場価格は「400,000円~」とされています。

工事規模や漏水状況によって変動するため、こちらも業者様と相談し確認しましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

エレベーターピット内の漏水を放置していると、エレベーターの故障や異臭の原因となります。

エレベーターピットは気づきにくい場所です。
エレベーターの点検を行う際には漏水していないか、エレベーターが劣化してきていないかも合わせて確認することをおススメします。
排水工事、止水工事などは、エレベーターの点検や修理業者ではなく、専門業者へご相談いただき、
エレベーターの点検や故障による修理のご相談はアイニチにご相談ください。

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