お電話でのお問い合わせ
8:30~17:30(土・日・祝を除く)
全国対応。お近くの営業所までお問い合わせください。
営業時間 / 8:30~17:30
休業日 / 土日祝
大阪(本社)
昇降機の豆知識
エレベーターは、縦方向の移動手段として生活やビジネスにおいて欠かすことのできない設備のひとつです。普段何気なく利用していますが、重力に逆らって駆動するエレベーターは本来は怖い乗り物のはずです。
しかし私たちが恐怖を感じることもなく安全に利用できているのは、緻密に考えられた安全対策や構造と適切に施されたメンテナンスの賜物です。
本記事ではエレベーターの種類や仕組みと構造、いざというときに知っておきたい対処法などもご紹介していきます。
目次
1890年11月10日、東京浅草で日本初の電動式エレベーターが使用された12階建ての展望台・凌雲閣がオープンしました。
ですが、実はエレベーターの歴史はもっと古く、紀元前のローマでエレベーターが使われていたという記録も残っていると言われています。
現代のエレベーターの昇降の仕組みは、駆動スタイルによって異なります。
そのため昇降の仕組みを知るには、エレベーターの種類ごとに確認する必要があります。
以下駆動スタイルごとに仕組みを解説していきます。
ロープ式エレベーターは日本で多く採用されているエレベーターで、ロープを使ってかごを昇降させます。
現代のエレベーターでは最もポピュラーなスタイルです。
省エネ駆動やモーター音の小ささが特長で、現在ではほとんどが電動モーター式でエレベーターが駆動しています。
ロープ式エレベーターの中にも、釣合おもりを使用した「トラクション式」と、巻胴(ドラム)にロープを巻き付ける「巻胴式」に分けることができます。
建物の屋上に機械室を設置するタイプのエレベーターです。
「かご」と「釣合おもり」をロープでつりあわせて、重量のバランスを取りつつ昇降させるエレベーターです。
エレベーターの上部に設置した機械室でロープを操作し昇降を行う、エレベーターのもっとも基本的なタイプです。
システム構成も簡単で、低層ビル・超高層ビルに関わらず使用でき、様々なシーンで活用できます。
こちらの構造については「ロープ式エレベーター(トラクション式)の構造と各部名称」で解説しておりますので、ご参照下さい。
建物の屋上に機械室を不要にしたタイプのエレベーターです。
巻上機や制御装置をコンパクト化して昇降路内に設置しています。
建築上部の突出物がないので北側斜線制限や日影規制などの建築上の問題に影響を受けません。
また、荷重がかからない分、昇降路を自由に設置できるというメリットがあります。
かごに結んだロープを巻胴(ドラム)で巻き取ることによりかごを昇降させます。
かごと釣り合わせる重りがない、シンプルな構造であることが特長です。
省スペースや小規模の建物でも設置しやすく、屋上に機械室を設ける必要もないので、建物の高さ制限に影響しません。
もし高層ビルに巻胴式エレベーターを設置するとなると、ワイヤーロープが長くなり、巻胴部が巨大化してしまう問題があります。
そのため主に小規模の建物に用いられるタイプの小型エレベーターと言えるでしょう。
電動ポンプで油圧を制御し、その圧力でかごを昇降させます。
この油圧式エレベーターの駆動方式は、さらに「直接式」「間接式」「パンタグラフ式」の3種類に分類することができます。
かごと油圧ジャッキが直結しており、油圧ジャッキが直接かごを昇降させます。
直接式は、かごの積載量が大きく、重量物の運搬に適しています。
油圧ジャッキが滑車を動かし、滑車にロープや鎖を介して間接的にかごを昇降させます。
調速機が作動して、エレベーター制御が行われた場合の復帰操作は必ず手動で行われます。
油圧ジャッキでアーム頂部に取り付けているかごを昇降させます。
マジックハンドのような動き方で昇降します。
「直接式」「間接式」については「油圧式エレベーターとは」の記事で図を用いて解説しておりますのでご参照下さい。
上記以外にも快適性能や動力効率、または環境対応などを目指した新しい駆動方式があります。
回転運動を直線運動に変換するリニアモーターを利用し、かごを昇降させます。
機械室や巻上機を設置しなくても昇降させることが可能になり、さらに省スペース化することができます。
さらに次世代のリニアモーター式エレベーターとして、釣合おもりに内蔵されている一次側を、かごに内蔵する研究が進められています。
つまり昇降路内の二次側にそって一次側の「かご自体」が移動することになります。
この方式が実現すると、ロープが不要になり、水平・垂直・カーブなどのかごの3次元移動が可能になり、エレベーターの概念に大きな変化をもたらすでしょう。
水圧によりかごを昇降させます。
油圧式エレベーターとは違い、油特有の臭いや引火・燃焼の心配がなくなり、消防法で定める危険物にも該当しません。
そのため、機械室や消防設備の設置が不要になるというメリットがあります。
エレベータ―には故障や事故などを未然に防いだり、万が一の際には利用者の安全を守るために安全機能が備わっています。
エレベーターには、かごと一緒に動く内側の扉と、各階の乗場に設置されている外側の扉があり、停止階では両方の扉が連動して開くようになっています。
閉扉確認機能には、その両方の扉が閉まらないとエレベーターが動かない構造になっています。
乗場側の扉が閉まっている状態では、基本的にロックがかかっており開かないようになっています。
かごが到着すると、かご側の扉に設置されているインターロックスイッチが乗場側の扉のロックを解除する仕組みになっている為、かごが到着していない場合はフロアの乗場側の扉が不用意に開かないようになっています。
またスプリングやおもりの作用で、扉は常に閉まる方向への負荷が働いているので扉もまた自動的に開かないようになっています。
エレベーターの昇降速度は調速機によって監視されています。
万が一速度超過を検知した場合は、その状況に応じて電力供給を止めてブレーキをかけたり、非常止め装置が作動し利用者の安全を守るようになっています。
最上階と最下階に行き過ぎ検知システムが設置されています。
万が一かごが最上階または最下階の停止位置を行き過ぎてしまった場合、行き過ぎ検知システムが感知し、減速または停止を行います。
ロープが切断したときなどは非常止め装置が作動します。
調速機が異常を検知し、かごの降下を自動的に停止させます。
定格速度が毎分45m以下の低速エレベーターには『早ぎき非常止め装置』が取り付けられます。
異常を感知するとほぼ瞬時にかごを停止させます。
定格速度が毎分45mを超えるエレベーターには『次第ぎき非常止め装置』が取り付けられます。
高速エレベーターを瞬時に停止させると、かごへの衝撃が大きいため、一定速度以下に減速させてから制動力を一気に高めて停止させます。
前述のように数多くの安全装置が施されているエレベーターですが、これらが予期せぬ原因で作動せず非常止めを通過してしまった場合、天井面または床面への衝突時の衝撃を和らげる、衝撃緩衝器が取り付けられています。
緩衝器は「バネ式」と「油入式」の2種類があります。
定格速度が毎分60m以下の場合にはバネ式
定格速度が毎分60m以上の場合には油入式の採用が一般的です。
定員オーバーによる故障や事故を防止するために、かごには過荷重を検知する装置が取り付けられています。
過荷重が感知された場合は、扉の解放状態を保ち、ブザーやアナウンスなどで過荷重を知らせてくれます。
この装置は、過荷重が解消されるまで解除されないようになっています。
万が一エレベーター内に閉じ込められてしまった場合には速やかに非常ボタンを押してください。
地震の揺れを感じた場合には操作盤の全ての行き先階ボタンを押し、止まった階で速やかに降りましょう。
また下記3点を理解しておくことで非常事態時に冷静に対応できるでしょう。
エレベーターには建物の管理人室や警備室等と連絡ができる通話装置が設置されています。
速やかに通話装置を使用し状況を説明して救出を待ちましょう。
エレベーターは気密構造にはなっておらず十分に通気性が保たれていますので窒息することはありません。
停電によりエレベーターが停止した場合は、非常用バッテリーにて非常用照明が点灯します。
その為かご内が真っ暗になることはありません。
法令では30分間以上の点灯が定められています。
非常用エレベーターは火災時に消防隊が消火活動や救出活動をするために使用するものです。
建築基準法により高さ31mを超える建築物には設置することが義務付けられています。
また例外として31mを超える建築物でも、非常用エレベーターを設置しなくていい条件があります。
エレベーターの寿命は、定期的に適切なメンテナンスを行うことによって、耐用年数は大きく変わってきます。
しかし寿命といってもエレベーターには2つの見方があります。
それが「法定耐用年数」と「計画耐用年数」です。
法定耐用年数とは資産ごとに決められる耐用年数のことを指しており、税法上における減価償却の計算などに用いられます。
つまり税法上の資産価値を表した年数で、17年と言われています。
計画耐用年数とは、物理的な寿命を表した年数です。
エレベーターを物理的に使えなくなるまで活用する場合、25年程度と言われています。
エレベーターは用途や駆動方式によって様々なタイプがあります。
駆動方式としては、ロープ式と油圧式が一般的ですが、最近ではリニアモーター式や水圧式など、環境に配慮されたエレベーターの開発も進んでいます。
またエレベーターには何重にもあらゆる安全対策が施されています。
それでも万が一に備え緊急時にどういった対応方法を取ればいいのか覚えておくとよいでしょう。
エレベータ―にももちろん寿命はありますので、定期的なメンテナンスを心がけることと法定耐用年数を迎える前にはリニューアル・改修なども計画的に考えておく必要があります。