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昇降機の豆知識

投稿日 2016/04/25
更新日 2023/10/25

機械室レスエレベーターのメリット・デメリットと法律規定について

機械室ありエレベーターと機械室なしエレベーターの構造比較

エレベーターには、「機械室があるタイプ」と「機械室のないタイプ」があります。

機械室がないエレベーターを「機械室レスエレベーター」「マシンルームレスエレベーター」と呼びます。

この記事では、機械室レスエレベーターのメリット・デメリットと法律規定について解説いたします。

機械室とは

「機械室」とは別名マシンルームとも呼ばれており、エレベーターの巻上機や制御装置などが設置されている部屋で、多くは昇降路の真上部に設けられています。

エレベーターの機械室の広さは、エレベーターシャフトの2倍以上の広さが必要とされています。
その為建築物の屋上に機械室を設置するために屋上に突起ができてしまう特徴があります。

機械室レスエレベーターの概要

機械室レスエレベーターとは文字通り「機械室がないエレベーター」のことです。

前述の通り機械室は屋上に設置する必要がありました。
その機械室が不要になることで、建築物の屋上にあった突起を取り払うことができるようになります。

メリット

機械室レスエレベーターによるメリットは以下のようなものが挙げられます

北側斜線制限・日影規制の影響がなくなる

機械室が不要になることで、建築上部の突出物がなくなり北側斜線制限・日影規制(日影による建築物の高さ制限)の影響がなくなります。

建築物上部に荷重がかからなくなる

機械室レスエレベーターでは、建築物上部に設置していた機械室がなくなるため、荷重がかからなくなります。

屋根部分を自由にデザインできる

機械室がなくなることで、屋根部分で使用していたスペースが必要なくなり自由に設計できるようになります。

省エネルギー

機械室レスエレベーターではコンパクトなギヤレス巻上機が使用されるため、機械室があるエレベーターと比べると省エネになります。

デメリット

機械室レスエレベーターによるデメリットは以下のようなものが挙げられます。

保守点検時の危険が大きい

制御盤や巻上機が昇降路の中にあることにより、昇降路各部のスペースが小さくなっています。
保守点検時にはその狭い昇降路の空間で、巻上機・制御盤の動作確認等を行う場合があり、保守点検員にとってはかなり危険を伴った作業となっています。

騒音や振動対策が必要

機械室がカゴが通る昇降路内にあるため、ノイズの影響が非常に大きくなります。
そのため騒音に関しては、機械室レスエレベーターは明らかに機械室有りよりも大きくなります。
またそれに加えてブレーキ音、ファンの音で増幅されるため、昇降路内でこのノイズを対策する必要があります。

温度対策が必要

機械室レスエレベーターの昇降路内の温度が40度以上になると、巻上機や制御盤が故障しやすくなってしまうため、換気・空調設備等で調整する必要があります。

機械室レスエレベーターの法律規定について

機械室レスエレベーター(機械室のないエレベーター)は、建築基準法施行令第129条の3第2項第1号に基づく特殊な構造又は使用形態のエレベーターの構造方法を定める件の第3号で規定されています。

三 機械室を有しないエレベーター 令第百二十九条の六、第百二十九条の七第二号から第五号まで、第百二十九条の八第二項第二号並びに第百二十九条の十第三項及び第四項の規定によるほか、次に定める構造とすること。ただし、第一号に適合するものにあっては令第百二十九条の六第一号及び第四号の規定、第二号に適合するものにあっては令第百二十九条の七第一号の規定、第四号又は第五号に適合するものにあっては令第百二十九条の十第三項第二号の規定、第六号に適合するものにあっては令第百二十九条の十第三項第四号イの規定は、それぞれ適用しない。

出典:特殊な構造又は使用形態のエレベーターの構造方法を定める件(※第三号「機械室を有しないエレベーター」を一部引用)

まとめ

いかがだったでしょうか。

最近では機械室レスのロープ式エレベーターが主流となってきています。
またロープ式エレベーターから機械室レスエレベーターにリニューアルするケースも増えてきています。

本記事では機械室レスエレベーターのメリットやデメリット、法律規定について解説いたしました。
その他エレベーターに関する問い合わせなど、お気軽にアイニチ株式会社までご相談ください。

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