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昇降機の豆知識
「SUS304」「SUS430」というのはずばり【ステンレス】のことを指します。
食品工場や飲食店などに小荷物専用昇降機や荷物用リフトを設置する場合、水滴や熱に強いステンレス製を採用するケースがあります。
ですが、そのステンレスの中でも多様な種類があるというのはご存知でしょうか?
実際にお客様と打合せをする時に「SUS304(サスさんまるよん)でお願いします」
とステンレスの種類を指定されることがあります。
この記事では食品設備において代表的なステンレスである「SUS304」と「SUS430」について、 種類や特徴など、アルファベットや数字の意味も含めて細かく解説していきます。
目次
ステンレスの正式名称は「ステンレス鋼」
英語表記で「Stainless Steel」
Stain(サビ)less(ない)Steel(鋼)で“錆びにくい鋼”を意味しています。
そのため、スプーンやフォークなどの水回り製品に使われることが多い金属です。
通常金属は、水や空気に触れるとすぐに腐食してしまい錆に弱い性質を持ちます。
溶かした鉄にクロムやニッケルなどの錆に強い金属を混ぜることで錆びにくい「合金鋼」になります。
その中でもクロムを11%以上含有する鉄鋼を「ステンレス鋼」と呼びます。
ステンレスは混ぜる金属の種類や量によって特徴や性質が変わり、その種類はなんと200種類以上。
ステンレス鋼の中でもSUS304は最も広く使用されていて、
世界中で使われているステンレスの約7割がSUS304だと言われています。
鉄50%以上を主成分とし、クロムを10.5%以上含んでいる合金鋼です。
SUSとは、「Steel Use Stainless」の頭文字をとったもので、JIS規格(日本産業規格)ではSUSの略号で使用されています。
S=鋼(Steel)
U=特殊用途(special Use)
S=ステンレス(Stainless)
正しくは「エス・ユー・エス」と読むが、通常は「サス」と呼びます。
例)SUS304「サスさんまるよん」
例)SUS430「サスよんさんまる」
SUS〇〇〇となっている数字番号の部分はステンレスの種類を表します。
JIS規格による分類(金属組織による分類)では、次の5系統のステンレスがあります。
分類の違いは、どの種類の主要元素が入っているかで変わります。
基本的にクロムのみよりも、クロムとニッケルが混ぜられたオーステナイト系が高価で優秀です。
SUS200番台は(Cr-Ni-Mn系)オーステナイト系ステンレス鋼
ニッケルNiの含有量を節約し、マンガンMnを添加して低価格化を図っています。
用途例:鉄道車両部品、ホイルカバー、食器類等
SUS300番台は(Cr-Ni系)オーステナイト系ステンレス鋼
最も錆びにくく、靭性もあるので様々な産業や業界で使われています。
また一般的にイメージされる磁石にくっ付かない、いわゆる磁性のないステンレスになります。
用途例:建築装飾金物、一般家庭器具、食品設備等
SUS400番台は(Cr系)フェライト系およびマルテンサイト系ステンレス鋼
耐食性を持ち、炭素を多く含んでいるため、焼入れにより硬化させることが可能です。
用途例:一般家庭用器具、家電部品、機械構造用、厨房機器等
SUS600番台は(PH系)析出硬化型ステンレス鋼
焼入れによって生じやすい変形、歪み、寸法変化、焼き割れなどが起こりにくい特徴があります。
用途例:スプリング、ワッシャ、計器部品等
ステンレスには種類によって様々な特徴があります。
ステンレスの耐熱性とは高温下における金属の引っ張り強さのことを指します。
ステンレスの一般的な耐熱温度は700℃~800℃。
900℃以上の環境で使用されることはあまりありませんが最低でも500℃前後は保障されています。
耐食性とは腐食に対する耐性のことであり、腐食のしにくさのことを言います。
「腐食しにくい」=「錆が出にくい」ということになります。
ステンレスは他の金属と比較しても高い耐食性をもっています。
固さや粘り強さのことを指します。
ステンレスはスチールよりも基本的に強度が高い為、スチールと同じ強度にするのであれば、スチールよりも薄く軽量化できるメリットがあります。
またステンレスの種類によっては、熱処理を行うことで更に強度を上げることが可能です。
ステンレスには一般的に磁性体と、非磁性体のものがあります。
いわゆる磁石に吸着するかしないかを表す性質のことです。
文字通りステンレスの表面の光沢を表すものです。
普段よく目にしているステンレスには表面に光沢があると思いますが、これは表面仕上げという加工によるものです。(※鏡面仕上げなど、研磨によって異なります)
ステンレスには様々な種類があり、
使用している成分・配合している成分によって性質や用途が異なります。
ステンレスの価格を指します。
基本的にクロムのみよりも、クロムとニッケルが混ぜられたオーステナイト系が高価です。
上記比較ポイントを踏まえて、
一般的に食品設備で採用されている「SUS304」と「SUS430」を比較していきます。
項目 | 耐熱性 | 耐食性 | 強度 | 磁性 | 光沢 | 価格 |
---|---|---|---|---|---|---|
SUS304 | 優れる | 優れる | 優れる | なし | 強い | 高い |
SUS430 | 劣る | 劣る | 劣る | あり | 普通 | 安い |
※これはあくまでSUS304とSUS430での相対的な比較になります。
項目 | クロム (Cr) | ニッケル (Ni) | 炭素 (C) | ケイ素 (Si) | マンガン (Mn) | リン (P) | 硫黄 (S) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
SUS304 | 18~20% | 8.0~10.5% | 0.08% 以下 | 1.00% 以下 | 2.00% 以下 | 0.045% 以下 | 0.03% 以下 |
SUS430 | 16~18% | – | 0.12% 以下 | 0.75% 以下 | 1.00% 以下 | 0.040% 以下 | 0.03% 以下 |
ここでは一般的に利用されているSUS304とSUS430の用途や使用例をご紹介します。
ステンレスの中では最も広く流通しており、強度や温度変化にも優れているため、様々な業界で広く使用されています。
溶接性も優れていて、鉄とそれほど違和感なく溶接することが可能です。
【用途例】
建物:自動ドア、エレベーター、エスカレーターの銀板、手すり
プラント:LNGタンク、原子力用設備
工業製品:ボルト、ナット、ワッシャー、ピン、自動車部品
機械設備:自動機部品、省力化部品、洗浄機部品
SUS430はクロムのみを含むステンレスです。
SUS304と比較すると全体的な性能は劣りますが、安価で入手しやすいため広く使用されています。
特別な性能が必要のない日用品などに幅広く使用されています。
【用途例】
自動車:排気管
家電:冷蔵庫、洗濯機
日用品:スプーン、フォーク、鍋
一概にステンレスと言っても、成分によって様々種類や特徴をもっています。
ステンレスの中で最も広く流通している「SUS304」の方が「SUS430」より耐食性、強度等が優れており、錆びにくい特徴があります。
これは、レアメタルの一つであるニッケルを含んでいるためです。
ニッケルが含まれている分、SUS304の価格は多少高くなりますが、長期間、衛生的にご使用いただけます。
そのため、食品を扱う多くの食品工場・飲食店ではSUS304が採用されています。