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昇降機の豆知識
近年、エネルギー効率の向上や持続可能なエネルギー源の普及に伴い、インバータ機器の需要も増加傾向にあります。
インバータ機器は、電力の制御や変換を可能にする重要な装置であり、様々な産業や快適な生活において幅広く使用されています。
しかし、これらのインバータ機器にも寿命があり、正常な動作を維持するためには注意が必要です。
本記事では、インバータ機器の寿命に関する重要な要素や初期症状、そして予防保全について解説していきます。
長期的な安定運用を実現するために、インバータ機器の管理とメンテナンスの重要性を理解しましょう。
目次
インバータ機器は、モーターの回転速度を変えて駆動するために最も重要な装置です。
また、必要最小限のエネルギーで動力を稼働させ、ロスを抑える省エネルギーの側面が強い機器でもあります。
ここではインバータ機器とは何か、その役割やどのようなものに利用されているのか解説していきます。
また『インバーターってなに?仕組みや役割、どのように役立っているかを解説』の記事でもインバータについて詳しく記載していますので参考にしてみてください。
インバータ機器とは、可変可能な電圧や可変可能な周波数を作り出すことができる設備です。
学術的には直流の電圧を交流に変換する装置の名称ですが、日本国内では、交流から直流、直流を交流に変換する一連の流れを担う装置全体のことを呼びます。
つまりコンバータ回路、インバータ回路、コンデンサを含めた装置全体の事をインバータと呼びます。
コンバータ回路 | 交流から直流に変換する回路 |
インバータ回路 | 直流から再度交流に変換する回路 |
コンデンサ | 「電気を蓄える・放出する機能」 「直流電流を遮り、交流電流を通す」という機能を持つ |
インバータ機器の役割は主に以下の2つです。
直流交流を自在に切り替え、電気を使いやすくすることができます。
モーターの回転速度や回転数を変えることができます。
この機能を利用することで、細かい微調整など様々な動きを実現することができます。
現代社会では、様々な分野でインバータが利用されており私たちの生活において重要な役割を果たしています。
インバータを利用している主な物 |
「建設・土木機械」「空調システム」「ファン・ポンプ」 「エレベーター」「安全ドア」「搬送機械」 「食料品加工機械」「製紙・印刷機械」「包装機械」 |
このように、インバータは社会を支える重要な技術となっています。
インバータ機器にも寿命があります。
また寿命といってもご使用環境によって寿命の長さは異なってきます。
耐用寿命とは、製品を使用開始後、実際に製品が使用できなくなるまでの期間。
電子部品や樹脂などの劣化によりますが、一般的に汎用インバータは、10 年程度の寿命を目安に設計しております。
エレベーターのように法的には耐用年数は定められていません。
インバータの機種により機器内部で使用している部品も異なりますが、一般的かつ正常な使用条件下のもとでの部品交換の目安時期は以下のようになります。
※使用条件:周囲温度年平均30℃、負荷率80%以下、1日12時間運転
この目安時期は寿命年数ではなく、故障率が増加してくる年数を基準に表しています。
インバータ機器の寿命が来る前の交換を心がけましょう。
また、ご使用環境にもよりますが、エレベーターの場合、部品の寿命が来たときは、部品のみ交換の場合もありますが、インバーター本体ごと交換する事が多いです。(故障により閉じ込めや、使用停止を回避する為)
部品名 | 耐用寿命 | 標準交換年数 |
---|---|---|
冷却ファン | 10年 | 2~3年 |
主回路コンデンサ | 10年 | 5年 |
制御回路コンデンサ | 10年 | 5年 |
突入電流制御回路 | 10年 | - ※調査の上決定 |
前述の通りインバータ機器には寿命があります。
寿命が近づくと以下のようなトリップが発生します。
※トリップ・・・過電圧、過電流などに対してインバータの保護機能が動作して、インバータからモータへの電力供給を遮断すること
インバータ機器の寿命が近づくと・・・
エレベーターの場合、滑らかだった動作が、ガタガタとガタついた動作になります。
今まで滑らかだった動作だったのに振動を感じたり、異音がした場合は一度点検を行いましょう。
インバータ機器が故障してしまうと・・・
エレベーターの場合、機械の電源が入らなくなり動かなくなってしまいます。
インバータ機器の故障が判明してから対応すると、インバータ機器の交換を終えるまで使用できなくなってしまい、住民や利用者に影響が出てしまいます。
そのため故障してしまう前の初期症状などの段階で早めにインバータ機器の更新ができるように対策を行うことが重要です。
インバータ機器を耐用年数以上使用している場合、突然の故障発生による設備やシステムの停止というリスクが極めて高くなります。
「まだ使えているから大丈夫だろう」
「今はまだ更新する予算がない」
と思われることは多々あると思います。
しかし一度故障してしまい、停止した設備・システムの復旧と機器交換には、より一層時間もコストも掛かってしまいます。
このような事態に陥る前に、最新機種への更新をすることが最大のリスクヘッジとなります。
インバータ機器を更新することにより、トラブルを未然に防ぐだけでなく、以下のようなメリットもあります。
インバータ機器内部には、数多くの部品が使用されており、これら部品が全て正常に動作しなければ本来の機能を発揮することができません。
前述の通り、インバータ機器が所定の機能・性能がすべて維持された状態で運用可能である期間がインバータ機器の耐用年数になります。
インバータ機器の耐用年数は一般的には10年程度を目安としています。
インバータ機器はどうしても電子部品や樹脂などの劣化が発生しますので、冷却ファンなどの交換可能部品、いわゆる有寿命部品を交換したとしても、永久的に使い続けることはできません。
その為、トラブルを未然に防ぐため、耐用年数に達する前にインバータ機器の更新が必要となります。
設備の運用を始めてから寿命までの期間を以下の3つの期間に分類することができます。
一般的には摩耗故障期>初期故障期>偶発故障期の順番で故障が起きやすいとされています。
摩耗故障期は最も寿命に近い時期で、長期間使ったことによる部品の金属疲労や摩耗などにより故障が起きやすくなります。
そのため偶発故障期から摩耗故障期に入る前にメンテナンスを実施し、交換可能部品を交換することで耐用年数を延ばすことができます。
インバータ機器を設置する際、環境条件によってはインバータ機器の寿命低下や正常動作を妨げる事があります。
インバータ機器の寿命は、周囲温度に大きく左右されます。
具体的には、周囲温度が10℃高くなると、寿命が半分になると言われています。
インバータ機器を構成する主な部品として、各種基盤、平滑コンデンサ、冷却ファンなどがあります。
この各種基盤については、稼働中だと最高150℃程度まで温度が上昇します。
冷却ファンが装着されているのはこのためですが、冷却ファンが停止してしまうと瞬く間にインバータ機器は故障してしまうでしょう。
そのため冷却ファンの異音点検や周囲温度の上昇には常に気をつけておく必要があります。
また平滑コンデンサは、部品内部で化学反応が起こる消耗品で通常だと約5年程度で交換が必要になります。
こちらも周囲温度が高い場合や定格電流を越えて使用する重負荷などの環境では、著しく寿命が短くなります。
またインバータ機器自身も発熱するため、インバータ機器の周囲スペースが適正でないと、内部温度が上昇して、寿命の低下を引き起こします。
適正な周囲スペースとしては、インバータ機器の左右5cm以上、上下10cm以上のスペースを空けることが望ましいとされています。
いかがだったでしょうか。
インバータ機器には寿命があります。
エレベーターにもインバータ機器が使用されており、万が一故障してしまった場合インバータ機器を更新するまで使用できなくなってしまいます。
このようなトラブルを未然に防ぐためにもインバータ機器の更新は計画的に行うことをお勧めします。
「今まで滑らかだった動作が、ガタガタとガタついた動作をしている」
これはインバータ機器の寿命が近づいている場合などによく見られる初期症状です。
このような初期症状や違和感を感じた際は保守業者に連絡を行い点検を行ってもらうのが良いでしょう。
エレベーターのメンテナンスについてさらに詳しく知りたい方は、弊社が運営しておりますメンテナンス・保守点検サイトも合わせてご活用下さい。