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昇降機の豆知識

投稿日 2025/11/19
更新日 2025/12/10

ショックリレーとは?仕組みやサーマルリレーとの違いを解説

ショックリレーとは?仕組みやサーマルリレーとの違いを解説

工場や物流現場の設備担当者様であれば、「ショックリレー」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。
モーターを保護する重要な機器ですが、似た役割を持つ「サーマルリレー」と混同されがちです。

「ショックリレーって具体的に何をするもの?」
「サーマルリレーとは何が違うの?」
「うちの設備にはどっちが必要?」

この記事では、ショックリレーの基本的な機能や仕組み、そして昇降機や簡易リフトで一般的に使われているサーマルリレーとの違いについて、専門家が分かりやすく解説します。

機器の特性を正しく理解することは、設備のトラブルを未然に防ぎ、長く安全に使い続けるための第一歩です。

ショックリレーとは?電子式の過電流保護装置

まず、ショックリレーがどのような機器なのか、その定義と役割を解説します。

椿本チエインの商標である電子デバイス

「ショックリレー(SHOCK RELAY)」は、一般名称ではなく、株式会社椿本チエインの登録商標です。

正式には「電子式過電流保護リレー」や「電子式モーター保護リレー」と呼ばれる機器の一種ですが、現場ではこの種の機器を総称してショックリレーと呼ぶこともあります。

主にコンベアや破砕機など、異物の噛み込みによる急激な過負荷が発生しやすい産業機械で多く採用されています。

モーターを「過負荷」から守る役割

ショックリレーの最大の役割は、モーターに無理な力がかかった(過負荷)際に、瞬時に電気を止めてモーターの焼損や機械の破損を防ぐことです。

モーターは、定格を超えた負荷がかかると過大な電流(過電流)が流れます。
これを放置するとモーターが発熱し、内部が焼き付いて故障してしまいます。

ショックリレーは、この電流の変化を電子的に監視し、設定値を超えた瞬間に回路を遮断(トリップ)する役割を担っています。

ショックリレーの仕組みと特徴

なぜショックリレーは、産業機械の保護に適しているのでしょうか。その仕組みを見ていきましょう。

電流値を電子的に監視する

ショックリレーには、電流を計測するセンサー(CT:変流器)が内蔵されています。
ここを通る電流の値をリアルタイムで監視しており、「あ、今異常な電流が流れた!」と検知すると、電子回路が作動して信号を出します。

「衝撃(ショック)」に素早く反応する

最大の特徴は、その反応速度の速さです。
コンベアに硬い異物が挟まった場合など、機械的なロック(拘束)が発生すると、一瞬で電流が跳ね上がります。

ショックリレーはこれを瞬時に検知して停止させることができるため、チェーンが切れたり、ギアが欠けたりする機械的なダメージを最小限に抑えることができます。
この「ショック(衝撃的な負荷)」に対応できる点が、名前の由来とも言えます。

よく似た機器「サーマルリレー」との違い

簡易リフトなどの昇降機において、モーター保護として一般的に普及しているのは、ショックリレーではなく「サーマルリレー(熱動継電器)」です。
両者の違いを比較してみましょう。

【比較表】ショックリレーとサーマルリレーの違い

比較項目ショックリレーサーマルリレー
検知方式電子式(電流値を直接監視)熱感知式(バイメタルの熱変形を利用)
反応速度速い(急激な負荷に即応)比較的遅い(熱が伝わる時間が必要)
精度高い(電流値をデジタル設定可能)普通(ダイヤルでの大まかな設定)
主な用途コンベア、破砕機、ポンプなど簡易リフト、昇降機、ファンなど
コスト高価安価

なぜ昇降機にはサーマルリレーが使われるのか?

簡易リフトでは、なぜ高機能なショックリレーではなく、サーマルリレーが採用されることが多いのでしょうか。

  1. コストパフォーマンス
    サーマルリレーは構造がシンプルで安価であり、多くの設備に導入しやすい。

  2. 特性のマッチング
    昇降機は、始動時に大きな電流が流れる特性があります。
    サーマルリレーは熱で作動するため、一瞬の始動電流には反応せず、じわじわと続く過負荷(積載オーバーなど)を検知するのに適しています。

ただし、より精密な制御や即応性が求められる特殊な環境や、最新の制御盤においては、電子式の保護装置が採用されるケースも増えてきています。

モーター保護装置が作動する原因と対策

お使いの設備で、ショックリレーやサーマルリレーが作動して停止した場合、そこには必ず原因があります。

「リセットして再起動」を繰り返す前に、以下の点を確認することが重要です。

1. 荷物の積みすぎ(過積載)

モーター保護装置が作動する最も一般的な原因です。
定格荷重を超えた荷物を積むと、モーターはそれを持ち上げるために必死に力を出し、過電流が流れます。
荷物を減らすことで解決しますが、頻繁に繰り返すとモーターの寿命を縮めます。

2. 機械的なトラブル(噛み込み・引っかかり)

コンベアやリフトの可動部に、異物が挟まったり、荷物が壁に引っかかったりしていませんか?

機械が物理的に動けない状態でモーターを回そうとすると、「拘束電流」と呼ばれる非常に大きな電流が流れ、保護装置が即座に作動します。

必ず原因となる異物を取り除いてから復旧させてください。

3. 経年劣化による負荷増大

「荷物は適正なのに止まる」という場合は、設備自体の劣化が疑われます。

  • 減速機のオイル切れやギアの摩耗
  • ガイドレールの錆びや汚れ
  • モーター自体の絶縁劣化

これらの劣化により、通常よりも動きが重くなり、常に過負荷状態で運転している可能性があります。

まとめ

ショックリレーは、主にコンベアなどの産業機械で使われる、高性能な電子式モーター保護装置です。
一方で、簡易リフトでは、同様の役割を持つ「サーマルリレー」が広く使われています。

名称や仕組みは異なりますが、どちらも「モーターを焼損から守る重要な安全装置」であることに変わりはありません。

もし、これらの保護装置が頻繁に作動する場合は、単なる過積載だけでなく、機械内部で深刻なトラブルが進行しているサインかもしれません。

無理に使い続けず、専門家による点検を受けることを強くお勧めします。

もし、昇降機のトラブルでお困りでしたら、ぜひ一度、私たちアイニチ株式会社にご相談ください。
私たちは、エレベーターはもちろん、簡易リフトやダムウェーターのメンテナンス・改修においても豊富な実績を持つ専門家です。

お客様の設備の状況を正確に診断し、単なる部品交換から制御リニューアルまで、最も費用対効果の高い解決策をご提案いたします。

ご相談・お見積もりは無料です。
まずはお気軽にお問い合わせください。

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