小型エレベーター(小規模建物用小型エレベーター)は、一般社団法人日本エレベーター協会標準JEAS-712(標12-02)で規定されている、「利用者がある程度限定されている小規模な建築物」に設置することで開発されたエレベーターです。
業務用エレベーターは設置が大変、ホームエレベーターでは設置ができない。老人ホームやグループホーム、サービス付き高齢者向け住宅といった福祉施設など、小規模な建築物に最適なエレベーターです。
具体的には、以下のような設置条件の関する標準が定められています。
小型エレベーター | |
---|---|
定員 | 3名以下 |
積載量 | 200kg以下 |
昇降行程 | 10m以下 |
かご床面積 | 1.1㎡以下 |
内装材 | 基本的には難燃材使用 |
法定積載荷重 | 1800N/㎡ |
設置できる場所 | 福祉施設、協会、診療所、学校など |
利用者がある程度限定されている小規模な建築物であること
出典:一般社団法人日本エレベーター協会標準JEAS-712(標12-02)
比較的に使用頻度が少なく、利用者が限定されている前提で計画された建築物または建築レイアウトや運行管理において、利用者および使用をある程度限定する配慮がなされた建築物である必要があります。
たとえば、具体的な建築例として福祉施設、集会場(教会、寺院含む)、診療所、学校などが挙げられます。
かごの積載荷重が一般の乗用エレベーターより緩和されているので、乗りすぎのおそれのある雑居ビルや事務所ビル等には小型エレベーターではなく、一般の乗用エレベーターで計画したほうがよいでしょう。
1)1日の使用頻度がホームエレベーターと同等もしくは製造者が設定した使用回数以下であること。(カタログ、取扱説明書などに明示する)
出典:一般社団法人日本エレベーター協会標準JEAS-712(標12-02)
2)利用者は、運行管理者の管理のもとに利用すること。
小型エレベーターは、1日の使用回数が一般乗用エレベーターに比べて少ないことを前提としたホームエレベーターと同様の構造・仕様等に基づいて設計されています。
そのため、ホームエレベーターと同様の使用回数、もしくは製造者が設計した使用回数以下である必要があります。また、製造者は設定した使用回数をカタログ、取扱説明書などに明示しておきます。
また、小型エレベーターの主な設置目的は、高齢者、障がい者、要介護者、患者等の階段利用が困難な方の支援を想定しています。
そのため、運行管理者の管理のもとにエレベーター利用ができる環境が必要です。運行管理者の管理とは、運行管理者が常駐し管理する場合やキースイッチ等による利用者限定等の管理のことをいいます。
所有者等は、運行管理者を選任すること
出典:一般社団法人日本エレベーター協会標準JEAS-712(標12-02)
所有者等は、エレベーターの運行管理者を選任し、管理を行う必要があります。
また運行管理者は、定員や製造者が設定した使用回数等を正確に理解しておく必要があるため運行管理規定等を定める必要があります。
積載量200kg以下
小型エレベーターの積載荷重は、一般の乗用エレベーターより緩和が適用されたものです。
「建築基準法施行令第129条の5第2項」に記載の表による積載荷重を用いる代わりに、「用途が特殊なエレベーターで国土交通省が定めるもの」として、「平成12年建設省告示1415号3号」に記載されている積載荷重を適用しています。
これにより一般の乗用エレベーターよりも緩和が適用された積載荷重を定めることができます。
具体的には、定格積載荷重200kgという軽い積載量で、かごの床面積は車いす利用者とその介助者が同時に乗車できる広さを確保することが可能になります。