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昇降機の豆知識
このページでは、エレベーターや小荷物専用昇降機(ダムウェーター)で使われている「インバーター」について、解説しています。
インバーターがあることで、エレベーターの乗り心地が良くなったり、小荷物専用昇降機で料理や飲み物をこぼさずに運べます。
インバーターがあることで、ゆっくりと加速や減速ができるようになります。
目次
インバーターとひとくちに言っても、さまざまな種類のインバーターがあります。
エレベーターに用いられるインバーターは、VVVF「Variable Voltage Variable Frequency(可変電圧可変周波数制御)の略」と呼ばれており、モーター駆動用のインバーターです。
このインバーターは、「周波数」と「電圧」を変化(制御)させる働きがあります。
周波数とは、交流電流において、電気のプラス(+)とマイナス(-)が1秒間に入れかわる回数です。単位は、Hz(ヘルツ)。
電圧とは、電気を流そうとする圧力です。単位は、V(ボルト)。
インバーター(VVVF)の内部は、「コンバーター回路」「コンデンサー」「インバーター回路」の3つに分かれています。
周波数と電圧を変えるのに重要なのが、「コンバーター回路」と「インバーター回路」になります。
それぞれの役割は、次のとおりです。
・コンバーター回路は、交流を直流に変換
・インバーター回路は、直流を交流に変換
なぜ、交流から直流に変換してから、再び直流から交流に変換に戻すのかというと、交流のまま周波数と電圧を変化させるのは難しいからです。
そこで、「交流を直流に変換」した後、再び「直流を交流に変換」することで、周波数と電圧を比較的簡単に変化させることが可能となります。
厳密にいえば、インバーターとは、直流を交流に変換する装置ですが、「直流から交流に変換するインバーター」と「交流から直流に変換するコンバーター」などを組み合わせた電力変換装置全体を”インバーター”と呼んでいます。
なぜ、「周波数」と「電圧」を変化させるのでしょうか?
その理由を見ていきましょう。
周波数を変化させる理由は、かごの昇降速度を変化させるためです。
モーターの回転速度は、周波数にほぼ比例します。
簡単に説明すると、周波数を”上げれば”モーターの回転速度が”早く”なり、周波数を”下げれば”モーターの回転速度は”遅く”なるということです。
エレベーターにおいては、インバーターを使って、巻上機の”モーターの回転速度を変化”させることで、巻上機につながれている人が乗り降りするかごの昇降速度を変化させることが可能となります。
電圧を変化させる理由は、モーターが壊れるのを防ぐためです。
周波数を変化させると同時に、電圧も変化させる必要があります。
なぜかというと、周波数を下げると、抵抗も下がり、電流がモーターに流れすぎる(電流が多くなる)からです。
電流がモーターに流れすぎることで、モーターが壊れる可能性があります。
なぜ、周波数を下げると、電流が流れすぎるのでしょうか?
仕組みについて、解説します。
電流(I)は、次の式で求められます。
電流(I)=電圧(V)/抵抗(R)
例えば、電圧(V)を100V、抵抗(R)を10Ωとすると、電流(I)は、”10A”となります。
電流(I)=100V/10Ω=10A
次に、電圧(V)はそのままで、周波数(f)を下げて、抵抗(R)も10Ωから5Ωに下がったと仮定しましょう。※周波数が下がると、抵抗も下がる。
すると、電流(I)は、”20A”になります。
電流(I)=100V/5Ω=20A
電流(A)が”10A”から”20A”に上がりました。
このことから、「周波数を下げると、電流が多くなる」ということが分かると思います。
もし、電流を10Aに保った状態で、周波数(f)を下げたいなら、電圧(V)を”50V”に下げる必要があります。
電流(I)=50V/5Ω=10A
最後に、エレベーターにおけるインバーター(VVVF)の働きについて、まとめると次の通りです。
・インバーター(VVVF)は、「周波数」と「電圧」を変化(制御)させる働きがある。
・周波数を制御することで、エレベーターの巻上機の回転速度を制御できる。
・それにより、人が乗り降りするカゴの昇降速度を制御できるので、乗り心地が良くなる。